中国で子供の誘拐と人身売買を防ぐには:リアル上海
日本人駐在員が数多く住む中国。約13万人の在留邦人が暮らしており、日本企業の駐在員の数も米国に次ぐ第2位の多さとなっています。
なかでも、日本人駐在特に駐在員が多く済む国際都市”上海”は、『なんでもあって生活しやすい』、『食事も美味しい』と評判が良いですが、実は上海で生活をしていく上で、治安にはかなりの注意を払う必要があります。
駐在員家族にとって特に危険なのが、「子供の誘拐」です。中国では、毎年2万人の子供たちが誘拐されてオンラインで売買の対象になっているとの報告もあります。
実際に上海に駐在妻として4年間帯同されていたmanamiさんにリアルな体験談をインタビューしたので、現地の最新情報と合わせてまとめました。これから中国駐在を控えている駐在員・駐在妻の皆さんの参考になれば嬉しいです。
【manamiさん一家の基本データ】
- 駐在期間:2010年2月~2014年3月(4年間)
- 家族構成:3人家族(娘が1人)
- 駐在員の夫の職業:エンジニア
- 住居:金融街のそばの高級タワーマンション
Contents
中国で誘拐されたら取り戻せない
『とにかく注意しろと初めに教えられたのが、誘拐です。』 とmanamiさんは言いました。
中国では幼い子供を狙った誘拐が非常に多いんです。その数、1年あたりなんと約2万件。
これを聞いたとき、私は当然のごとく「身代金目的の誘拐」かと思ったのですが、違いました。誘拐の目的は、「労働力」、「セックススレイブ」、「臓器」です。
そのため、中国で子供を誘拐されたら、取り戻せる可能性は非常に低いです。
また誘拐の対象は中国人だけに限りません。日本人の子供にも当然誘拐されるリスクがあります。
労働力(人身売買)としての誘拐
中国では誘拐された子供は労働力として人身売買されていきます。
この「労働」にも様々な種類がありますが、多く報告されているのが「物乞い」です。誘拐した子供に路上で物乞いをさせて、収入を得るという恐ろしい仕事です。
また、窃盗集団の中に入れられて強盗を働かさせられるケースもあるようです。
一人っ子政策を長年続けてきた中国の若い労働力不足は深刻な状況のため、子供の頃に誘拐されて、農村部できつい環境で働かされるケースも報告されています。
セックススレイブ、買収としての誘拐
さらに、女の子の場合には、売春や性奴隷の対象にされる危険まで考えられます。この場合は、中国以外の国に人身売買祖組織を経由して売り飛ばされてしまう例も数多く報告されています。
臓器売買としての誘拐
人身売買だけでなく、誘拐された子供は臓器売買の対象にもなります。腎臓の片方だけを摘出する、などの生半可なものではなく、肺や心臓などすべての臓器を摘出して殺されてしまいます。
子供の送り迎えは必須
このような誘拐の実態があるため、駐在員が子どもを学校に通わせる際の送り迎えは必須です。子どもたちが仲良く元気に自分たちだけで学校に通学、なんてあり得ません。
上海に駐在妻として住んでいたmanamiさんによれば、『親が子どもに対して払うべき注意は日本の比じゃない』とのことでした。お子さんを通わせていたインターナショナルスクールからも毎週のようにアラートのメールが回ってくるそうです。「XXXの通りで誘拐未遂がありました。注意してください。」という内容です。
また、上海にある日本人学校の中には、高校でも保護者の送り迎えを必須とする学校があります。日本人が中国に住むということは、それだけ危険を伴うのだということを念頭に置いていただきたいと思います。
休日も子供だけで遊ぶことは無い
『上海で公園で子供だけで遊ばせる、などということは一切ありません。土日も常に親と子供は一緒にいます。』とmanamiさんは教えてくれました。「夕方までお友達と遊んでおいで~」、は通用しない社会とのことです。
休日に何をするかというと、日本人駐在員同士でのたまのホームパーティーはあるにせよ、基本的には、土日は習い事に通わせていたそうです。カンフーパンダが流行った時期でもあったためお子さんの希望で中国武術を習っていたそうです。
日本人が行っている誘拐対策
manamiさん一家は、娘さんに携帯電話も持たせていました。ただし、携帯電話を持っているから安心というわけではありません。大人なら簡単に力ずくで誘拐できてしまいますからね。
誘拐対策として一番重要なのは、とにかく子供1人で出歩かせないこと、です。
それから、「どこどこの地域で誘拐があった」とか「カルフールの辺りは最近治安が悪い」といった最新の治安情報は現地に行かなければわかりません。中国では誘拐に限らず、強盗などの被害もありますから、治安関連の情報はあるに越したことはありません。
同じ学校に通わせる日本人家族や同僚の駐在家族など、ネットワークは広めに持っておくことをおすすめします。駐在員同士、困ったときにはお互いに助け合える関係でいたいですよね。
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